はなれのなれのはて

ツイッターでは書き切れない何か

邂逅まで遡る

ここで話は更に遡る。

最初に読んだ菊池真理子の著作は『酔うと化け物になる父がつらい』(2017)。

連載時(2017年)は話題が沸騰していたそうだが、トレンドへの感度が皆無の私が知ったのはその翌年のこと。ebook Japanのタダ読み増ページキャンペーンにまんまと乗せられ(全体の7~8割ほど無料で読めたような)、これは最後まで読まずばなるまいとデジタル版を買ってしまった。思えばこれが私が初めて買ったデジタル書籍だった気がする。

余談だがデジタル書籍の新刊はebook Japanが実質的には抜群に安い。ポイント還元率の高い曜日ならば40~50%ほどのポイントが付く。そのせいか発売前の告知がないことが多い。

全体的な私の感想はありきたりで書き記すほどのものはないが、いわゆる「毒親」と心理的に決別するという模範解答とは異なるラストが妙に印象に残った。

割り切れぬ、いや割り切らぬ思いを綴ったラストシーンは、菊池真理子という作家を、菊池真理子という人を、もっともよく表すものと言えるのかもしれない。

また、作者と私は育った環境はまるで違うけれども、ものの見方であったり気質であったり、なんとなく親近感を覚えたことも確かである。

とはいえまだこの作品を読んだ時点では、私にとって「ちょっと気になる漫画家のひとり」でしかなかった。

ツイッターでどんなタイミングでフォローしたのかも覚えていないが、たぶんこれを読んだ後に検索して見つけたのだろう。

それからしばらくの間は、他の作品を読むでもなく、アルコール依存関連の催しなどの報告ツイートをフーンと読み流していたように思う。